歴史も科学も一緒になって、そのスケールの大きさが堪らない。本を読む醍醐味を思い出させてくれる。
“永遠の命”それは禍か、救済か
永遠の若さが手に入るとき、歴史の闇から陰謀が浮上する。
死は生の対局にあるのではない。死は生に内在されているものだ。
ベルリンでの講演直後、天才遺伝子科学者トオル・アキツは何者かに攫われ、爆破事件で吹き飛ばされた男の手首を見せられた。四十代のものに見える手首の主は、生きていれば百歳を超えるナチス武装親衛隊の大佐だという。謎を解明するためブラジルの奥地へ向かったトオルの前に、ナチスの壮大な陰謀が姿を現す。
登場人物
トオル・アキツ(35)
日系アメリカ人三世。カリフォルニア工科大学遺伝子研究所教授。薬学・科学博士号。ノーベル賞の有力候補。
アキラ・アキツ(42)
トオルの兄。遺伝的難病で入院中。
カタリーナ・ローゼンバーグ(28)
通称カーチャ。ドイツ人。スタンフォード大学卒。トオルのアシスタント。実はトオルの研究内容を狙う製薬会社のスパイ。
ジョセフ・フェルドマン(73)
ユダヤ人。イスラエル公認のナチ・ハンター。かつてアウシュビッツにて両親と弟妹を失った。
ラインハルト・ベンツェル(117)
元ナチス親衛隊少将。第四帝国の復活を計画する。
カリウス・ゲーレン(112)
元ナチス親衛隊大佐。ベンツェルの上司にあたるが爆殺される。
オットー・アースキン(108)
ナチスの科学者。かつてメンゲル博士の右腕で、死の天使と呼ばれた。現在も遺伝子を研究している。
ドーナ(125)
ゲーレンの妻。ブラジルのインディオ。常識を超えた再生能力の遺伝子を持つ。
アスカ(15)
ゲーレンとドーナの子供。「命の遺伝子」所有者。